2015年1月3日土曜日

お屠蘇気分でリモコンを

テレビがつまらない


 初見の人たちが「芸人」なるものを名乗って、画面ではしゃいでいる。何かゲームをやらされているが、しつこいくらい、自動車と住宅の広告がさしはさまれる。結局、何のゲームだったのか、クイズだったのか、よく分からないまま、視線を時計に戻すと、結構な時間を過ごしている。

 正月はレンタルビデオの貸し出しが増えるらしい。それもさもありなん。

 二時間、三時間、見慣れた人たちと、そうでない人たちががやがやと、雑な時間をつぶしてくれる。それに付き合っていたら、正月が空しかったことになりそうで危うくなるのだ。

「お正月の特番」

 とか、いうらしい。売れていない、お笑い芸人が面白くもないゲームでしゃかりきになるのは涙ぐましいが、ふと思う。ひょっとして、お正月のバカ騒ぎをきっかけに、次の仕事にありつけるぞ。そうたきつけられたのではないか。

 そして反証したことがないのではないか。

 お正月番組で注目されて、それ以降、着実に注目されるようになったタレントなどいないことを。

「○○年のお正月で人気が沸騰した」とか、「今年のニューイヤーを騒がせたスター」などといったキャッチは見たことがない。つまり、お正月番組と称して、売れない人たちが食いつないだだけなのだ。

 売れている人は正月前からも、正月以降も人気がある。

 お屠蘇気分でみるのもいいが、ふと札束で彼ら売れない人たちの頬をはたいたような気の毒さを感じて、余計に見苦しくなる。ここで面白ければ本人も納得いくだろうが、驚くほどやっつけ仕事でつまらない。

自爆

一昨年末から気になっていた言葉は「年賀はがきの自爆」である。

 非正規雇用の郵便配達員など、立場の弱い人たちに、雇用主は年賀はがきの販売のノルマを押し付けた。達成できない人は自腹で購入し、金券ショップに転売した。

 去年2014年年末も、今年もそうした話題は聞かなかった。さすがに是正されたのだろう。

 しかしそれが成り得たし、内部告発で明るみになったということに、本当はもっと寒々しい思いをしていいのではないか。

 慣例が常態化してノルマを設ける。立場の弱い人に、正規雇用をちらつかせて、札束で頬を叩く。

 とても近代的法治国家ではない。

 売れていない人も、非正規配達員も、そんな風に踏みつけられているのか。待て、そんなことがあったとして、一体、誰が望んでいるのか。

 おもんない、という以外にテレビを見ていられない理由はこれである。

テレビ自身の自傷行為を見せられているのではないか

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