2015年2月2日月曜日

ラジオ体操ぽんこつ編

嘆息

 子供の頃。夏場に市民プールにいくと、30分置きに監視員にあがるように命じられる。

 みんなでプールサイドで、ラジオ体操をさせられる。長時間水に浸かって、体温が下がり続けるのを避けるためだ。

 隣でおっちゃんがうめく。手足をのばすたびに、何がいたいのか、腰をひねるたびに何が重たいのか、ため息をついたり、うなるような声を漏らす。

 人間もああなると、ぽんこつだな。そう思っていた。

朝の儀礼

 今、朝礼の前にラジオ体操を行う。

 戦後の物資が不足した中で、国民の健康促進を目的に配信されるようになったというようなことを聞いたことがある。

 医学的にいって、ラジオ体操にダイエット効果はない。続けたところで、体が柔らかくなるわけでもない。健康的で体が柔軟な人が、テレビの向こうにいるだけだ。

 しかし健康には効果的である。末梢神経や筋肉を覚醒させるため、転倒しにくくなる。高齢者は寝たきりになりにくいという。

 実際にやってみると、腕や肩甲骨をやたら動かす。平行して、重心移動を行う。

 新撰組の沖田総司は、病床にあったことを気遣われた際、庭に出て四股を踏んだ。こんなにも元気だと主張したという。

 中世までの健康法の一つは四股を踏むことであった。地の神を呼び覚ます作法と、ますらおぶりを示すことは同じことであった。

 上半身を重点的に動かすラジオ体操とは対照的であった。

 神々を必要としない、理性的な身体技法である。

 肩の筋肉がのばされる。腰がほぐれる。背中の筋肉が伸びたり、縮んだり。

 思わず、低くうめいてしまって気がつく。ぽんこつなのか、俺は。
ヨガは√yog(つなぐ)の名詞形
心と体をつなぐという意味で、座禅全体を指していたが、
ヒンドゥ教の身体観念などが入り交じって、現代の健康法に。

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