一人はみんなのために
フランス人の家族が駅前で地図をにらめっこしている。
声をかけて、目的地まで案内する。
道すがら、片言の英語で話す。自分は三銃士が好きなこと。(大正時代の猿飛佐助は初版で『真田三勇士』というサブタイトルがついている。後の真田十勇士というタイトルは立川文庫がだいぶ刊行されてからのタイトルである。だから、最初は三銃士を意識して、猿飛と、三好晴海入道、霧隠才蔵の三人を主人公にしている、という自分の仮説を説明するほど、英語は話せない)
気になっていたことを質問する。
英語で、One for all, All for oneは日本人になじみが深い。
しかし本当は英語ではない。フランス語ではなんというのか、教えてほしいと。するとお姉さんが得意げに教えてくれた。
「un pour tous , tous pour un」
音だけをきくと、英語と結構似ている。ううん、ドイツ語みたいに、なんか全然違うことをいうてほしかった。
ムエタイの魅力を
タイ人の女性二人が、地下鉄で不安そうな顔をしているのに、出くわす。聞けば大阪駅から、バスで環状線のある駅に行きたいという。環状線のほうが、早いし、楽なのに。しかも雨ふってくるし。
それでも何とかバス乗り場を見つけ、乗せることができた。
道すがら、つい話してしまう。トニー・ジャーのティー・カウ・コーンは芸術だと。女性、二人ともややうけ。あ、今ニンジャオタクのアメリカ人見るみたいな顔した?
NHKのタイ語講座を見て、ビックリ。男性呼称と、女性呼称があるから、語幹は複雑に変化する。間違うと、単なるオネエ言葉になってしまうのだ。ううん、相当むずいぞ。こういうのが無いから、英語は逆に普及するんだろうか。
中国人の家族連れには、漢数字が同じだから、説明しやすかった。韓国人の新婚さんが道に迷っているのを案内したとき、ご主人にこっそり聞いた。大陸オンナはキレるとマジでやばいと。香港の二十代のグループにとって、ジャッキーは懐かしのスターらしい。すっかりおっさん扱いされてしまった。
ドイツ人の学生にラムシュタインの魅力を語ろうとして、全然興味ないと即答されてしまった。
ただスペイン人観光客には、質問することがなくて、がっかりした。ドン・キホーテだけである。全然知識が無い。スペインにはいけないが、スペイン人に話が聞けるチャンスがあったのに。
自称日本代表
日本経済がもうだめなのか? 福祉政策がだめなのか? 議会制民主主義がだめなのか? 何がだめなのか。きっと色々だめすぎるだろう。もう情報が錯綜しすぎて、いうたもん勝ちな状態である。
だが、そんなことと関係なく、外国人観光客は日本にやってくる。
海外にいったことがあるが、現地の親切さが、めちゃくちゃ嬉しかった。
自分がスポーツ選手になって、日本代表になることはできないだろう。なにか、世界的な貢献ができるわけでもないし、世界にその名を知られるようなことにはならない。
だが、日本代表になるチャンスがある。
それが道案内である。
帰国した外国人が、友人に感想を聞かれたときに、こういうのだ。
「まあ良かったよ、日本。全然英語できないくせに、バカ丁寧に案内してくれるお調子者もいたけどな」
そういいながら、彼もいつか現地にきた日本人にちょっといいことをしてくれる。
そうなれば、きっと世界は良くなる。
国際競争力だとか、貢献だとか、国際化とか、やるべきことはうんざりするほど、われわれ日本人にはあるのだろう。だが、それらに怯えたり、過剰に身構えるよりも、地図やスマホと標識を見比べて、途方にくれている人をほっとさせることの方が、実は確実にいいことだと思う。
それとライブの言語が聞ける意味で、得した気分でもある。
個人的に問題はスペインの知識である。イギリスにスペイン艦隊が負けた、ということしか知らない。スペイン人、怒るだろうな。いつの話やねん、と。
父とオスマン・トルコ帝国の領土について、話題になっていたとき、来ていた、トルコ人の兄嫁に笑われた。
スペイン。ううん、スパルタンX以外、全然閃かないぞ。
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