2015年4月29日水曜日

実も蓋もない話のストーカー

関白殿の往生

京都国立博物館で仏教美術について展示をしていたのを見たことがある。

その中で、発掘された経筒をいくつか展示していたが、正直戸惑った。

栄華を極めた藤原氏のものにしては、結構シンプルな装飾で、経典そのものも素朴であった。

おそらく文献に記載が少ないだろう、修験道の影響が大きく、華美な装丁はタブーであったのだろう。素朴な素材を生かすことが、山岳宗教には共通している。

だが、それよりも気になったこと。

それは願意は無視されていないかということ。つまり藤原道長自身の願いがどこにあったのか。

もし阿弥陀如来の極楽往生を願っていたのなら、彼の死後、四十九日以降であれば、効果はさておき、地中からほじくり返されても、道長自身の魂に影響しないはずである。

だが、弥勒往生だとまずい。弥勒菩薩が五十六億七千万年後に現れ、それを供養するために、道長が経典を埋蔵したのだとしたら、たかだか1000年でほじくり返してしまったことになる。

大丈夫か、道長? 現世で富と権力を存分にほしいままにしたのだから、もういいではないか、などというのは、彼の信仰の尊厳を無視した蛮行である。ほじくってもて、ごめんな、が正しい理解ではないだろうか。

彼の往生が実現したのか。展示を見ながら、気になった。

五十六億六千万九百九十九万九千年、埋めてないのだとしたら、実も蓋もないことをしてしまった。


ストーカーの徒労

レーガン大統領が1981年に襲撃された。当時の映像を覚えている。ケネディ暗殺も、こんなショックだったのだろうと思った。

あとで、犯人の男が女優のジョディ・フォスターへの偏執をもっており、大統領を殺して有名になることで、彼女と対等なセレブになれると、とんちんかんなイタイ人であったことを知る。

映画『タクシー・ドライバー』に登場する、フォスターに夢中になったという。好みの問題だが、セレブになるためのプロセスは、どう考えても破綻している。そんな卑怯な近道の、踏み台にされるレーガンの身にもなってみろ、だ。

事件にショックをうけて、ジョディ・フォスターは映画出演を自粛して、『羊たちの沈黙』で戦うFBI捜査官として、勇姿を銀幕に現す。

日本でも、確かコーヒー飲料(コーヒーではない!)のこじゃれたCMに出演していた。

その後、兄の暴露通り、彼女は同性愛者であることをカミングアウトした。

その報に接したとき、やはり戸惑った。

わお、ストーカーの立場、台無し。これも実も蓋もない。

燃え上がる思いで、彼女のことを付きまとっていたのに、彼女自身は(男って、粗忽でウザいわぁ)と思っていたとしたら?

ストーカーめ、ザマみろ、と笑いたくなった。



改修おわった平等院鳳凰堂。
十円玉と見比べにいかねば。。。

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