そうした背景を現代にまで継承していたのが、四天王寺の絵堂と言われている。
たまたま古本市に立ち寄った際に、絵堂を公開し、しかも”絵伝”と呼ばれる、いわばトークショーを拝観できた。
諸説あるが、仏壇の原型が、こうした僧侶によるトークショーである。(絵画より耐久性のある木製の仏像を背負って、地方を巡業し、本山への棄捨を募る僧侶たちがたくさんいた。彼らの背負ったものが、片付けられる仏教オブジェとして、仏壇になっていく)
開基聖徳太子の事績を紹介するもので、何度も戦災や焼失した経緯があり、八代目なんだとか。吉川英治の小説の挿絵も描いていた杉本謙吉の筆である(だから物部と蘇我の合戦シーンは臨場感に溢れている)。
お坊さんの話が面白かった。
「厩戸王子という言葉から、イエス・キリストを連想されたことが多いと思います」
そう。キリスト教文化が日本に入ってきたとか、結構明治時代から取り上げられている話題ではないか。
「しかし実際は、妊婦さんが産気づいて、移動中の振動に促されて、出産することは今でもよくあるらしいです。だから、駐車場である厩で出産することも珍しくなかったようです。また当時の地名が馬屋という場所であったという記録があります」
ええ。奇抜な説の方が面白いのに、地味に解説されてしまった。キリスト=聖人=大陸からの文化流入=聖徳太子のネーミングという方が、圧倒的に面白いではないか。
「後世、伝承がそうした想像を作っていったのでしょうが、実際はキリストの伝承を引用したとは考え難いようですね」
面白いのになぁ。法隆寺に十字架が隠されているとか、そういう設定の方が。
ペルセウスも、モーゼも、小舟に乗せられたのを、拾われて育てられたヒーローであり、本邦勇者桃太郎もドンブラコとやってきてほしい。
それと同じく、聖徳太子も聖人として設定するため、新約聖書からパクった、という方が面白いのに。残念。
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