2015年7月5日日曜日

コーヒーちりとてちん

そば通がやたら言いたがるのは、ざるそばの魅力であろう。

天婦羅などの揚げ物でも、丼のセットにするでもなく、そばとしていかに、品質を保っているのか。一番安いが、一番、店のスキルが現れるのが、ざるそばであるという。

もっというと、ざるそばのまずい蕎麦屋は、何を頼んでもまずいと。値札が高くても、それは家賃と内装維持費でしかない。

同様のことを、コーヒーに感じる。

スタバでホットコーヒーを頼んでみた。コーヒーが眠気覚しを目的にする飲み物であるとするなら、大成功である。

しかしくつろぎ、リラックスした状態で、集中力を高める飲料だとするなら、大失敗である。

酸味と、雑味が舌に突き刺さり、飲み込むと、香りではなく、苦味が停滞するのだ。全部飲まないといけないのだろうかと、二口目で不安になってくる。

シアトル系と呼ばれるコーヒーは、パッケージと内装で売れているだけで、使っている豆自体は実に凄惨なのものである。

香りも味も、オプションを足さないと、到底飲めたものではない。エビやちくわの天婦羅や、温泉卵があって、初めて食べ物として、成立する蕎麦屋である。

鳥取にスタバの店舗ができたというニュースがあったが、それを喜んでいること自体、鄙の特徴なのかと思ってしまった。

反面、通を気取る人がいただけない。

その心情を描いた、古典落語ちりとてちん(江戸落語の酢豆腐)は面白い。

腐ってしまった豆腐を見咎める旦那。そうだと、いたずらを思いつく。あの、いつも通ぶった男を呼んで、食べさせてやろう。こっちか素人でわからないといえば、喜んでたべると。

「長崎で人気のちりとてちんだそうだが、食べ方がわからなくて。あんたなら、教えてもらえるとおもって」

「なに? あの、ちりとてちんを知らないのか? しょうがないな。教えてやるから、持っておいで」

下げにいたるまで、演者が酸味にいかに苦しむかが、見所である。

通を気取る人へのしっぺ返し。

はたと思い直す。

逆にスタバで飲んだ、ホットコーヒーが実は、それであったのか。
茶屋町のシアトル系カフェの窓際で、
光るりんごマークを見せびらかす”いちびり”。
いけすかんわぁ。

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