そば通がやたら言いたがるのは、ざるそばの魅力であろう。
天婦羅などの揚げ物でも、丼のセットにするでもなく、そばとしていかに、品質を保っているのか。一番安いが、一番、店のスキルが現れるのが、ざるそばであるという。
もっというと、ざるそばのまずい蕎麦屋は、何を頼んでもまずいと。値札が高くても、それは家賃と内装維持費でしかない。
同様のことを、コーヒーに感じる。
スタバでホットコーヒーを頼んでみた。コーヒーが眠気覚しを目的にする飲み物であるとするなら、大成功である。
しかしくつろぎ、リラックスした状態で、集中力を高める飲料だとするなら、大失敗である。
酸味と、雑味が舌に突き刺さり、飲み込むと、香りではなく、苦味が停滞するのだ。全部飲まないといけないのだろうかと、二口目で不安になってくる。
シアトル系と呼ばれるコーヒーは、パッケージと内装で売れているだけで、使っている豆自体は実に凄惨なのものである。
香りも味も、オプションを足さないと、到底飲めたものではない。エビやちくわの天婦羅や、温泉卵があって、初めて食べ物として、成立する蕎麦屋である。
鳥取にスタバの店舗ができたというニュースがあったが、それを喜んでいること自体、鄙の特徴なのかと思ってしまった。
反面、通を気取る人がいただけない。
その心情を描いた、古典落語ちりとてちん(江戸落語の酢豆腐)は面白い。
腐ってしまった豆腐を見咎める旦那。そうだと、いたずらを思いつく。あの、いつも通ぶった男を呼んで、食べさせてやろう。こっちか素人でわからないといえば、喜んでたべると。
「長崎で人気のちりとてちんだそうだが、食べ方がわからなくて。あんたなら、教えてもらえるとおもって」
「なに? あの、ちりとてちんを知らないのか? しょうがないな。教えてやるから、持っておいで」
下げにいたるまで、演者が酸味にいかに苦しむかが、見所である。
通を気取る人へのしっぺ返し。
はたと思い直す。
逆にスタバで飲んだ、ホットコーヒーが実は、それであったのか。
茶屋町のシアトル系カフェの窓際で、 光るりんごマークを見せびらかす”いちびり”。 いけすかんわぁ。 |
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