2015年9月2日水曜日

Netflixで、ベター・コール・ソウル(ソウルに電話しよう!)を見始めた。

ブレイキング・バッドのスピンオフ『ベター・コール・ソウル』。

日本での配信が待ち望まれていたが、9月1日よりNetflixでウェブ配信されてたので、早速見てみた。

ブレイキング・パッドに登場する、チャラい弁護士ソウル・グッドマン。

彼がウォルター・ホワイトたちと出会う前の、2002年という設定(確かにスマホはなく、色んな形のフィーチャーフォンが最新鋭の機器であるかのように使われている)。

本編で、奇妙なスタッフたちを従えており、彼らと難事件をコミカルに解決してくれる連続ものかと思いきや、ちょっと違った。

まだタイトルのような名前を名乗ることはなく、本名のジェームズ・マッギル(確かに地味な名前。これでは両親の経営するガソリンスタンドに来られても、ジュニアのようにテンションは上がらない)という 名前で公選弁護人として、収入にならない弁護を引き受けているところから始まる。

ウォルターとの出会いが、安物パンツが宙に舞い、ガスマスクをつけた男が運転するキャンピングカーであったのに対して、今回のソウルは期待したほどのことはない。つかみとして、弱すぎる。

あの、銃口を前に怯えながら、それでも法律アドバイスを売り込もうとするソウルには程遠い、単なるチャラい中年オヤジが、惨めに失敗し、振られ続ける。なんと 第一話のラストにいたっては、キレやすさにドン引きしたトゥコに銃を向けられる。(ガス・フリングではなく、当初のシナリオではトゥコ・サラマンカがウォルターと戦う予定だったぐらい、凶悪なキャラ)

生活苦を理由に、ハイゼンベルクの名で、次第にカルテルのボスに(追い詰められて)なっていくウォルターと、憎しみ合い、助け合いながら、生き残るジェシーたちの日常に比べて、ソウルの日常は結構まったりである。

派手さにかける。

しかし電磁波恐怖症の兄チャック、昔なんかあったんだろうキム、といった新キャラたちに混じって、のちに私立探偵になるマイクが、駐車場係として難しい顔でクロスワードをしながら座っていたり、ジェシーに買収をすすめるネイルサロンにマッギル自身が事務所を持っていたりと、オリジナルをみた人間を楽しませる工夫が随所に光っている。

2002年って、そんなに昔なわけではないが、70年代ドラマのようなタイトルクリップなど、制作者の偏愛も光る。

オリジナルほど、手に汗握る展開ではないが、徐々にのし上がろうとする、したたかなマッギルを見ていると、次の一話と、見てしまう。(特にマイクが渋々事件を片付けるのがそれらしくていい)

何より楽しみなのは、タイトルにもなるキャッチ、「ベター・コール・ソウル」がどこで思いつくのか。その瞬間に立ち会えるかどうかなのだ。

日本でテレビの視聴率は急減しているらしい。今までテレビを見ていた人の半数は、実はウェブで動画や映像作品を楽しんでいるらしい。

今回の配信はまさに、そうした潮流を象徴するようなものだろう。

「ブレイキング・バッド」シリーズもウェブで配信されており、本作もシーズン1は全話配信されている。一ヶ月無料とか、やすい価格設定である。

もちろん、ウェブでの動画配信は万全ではない。

ちょっと前の映画棚卸しや、廃れたドラマの再利用的なサービスもあったり、バケツいっぱいのスーパーボールをひっくり返してみた、みたいなものも混じり、玉石混交なところもある。

しかし確実に言えることは、もうテレビに客は戻ってこないということだ。

広告の合間に笑い声を挟んだものや、CM明けのくどいリフレイン、音声を必要としないテロップなど、ここ十数年で、一般民放放送は基本的な求められ方も役割も変わった。

力道山がシャープ兄弟と戦った時代は、インフラとしてテレビが少なかったからだ。

狼煙であったか、チャットであったか。そこに優劣はない。だが、狼煙の味わいを語り始めた時に、すでに目的から逸脱している。

追記。
第6話のマイクのエピソード。警官。めちゃくちゃ良かった。

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