口元は手で隠すが、ひどく大きな声を出して、くしゃみをする人をしばしば見受ける。
あるフリーライターの女性は、くしゃみが大きかった。
彼女が姿を消して、誰かが探しかけても、お手洗いからくしゃみが聞こえるので所在が分かったこともあった。小心なアルバイトの女の子は、彼女がくしゃみをするたびに、飛び上がって驚いていた。
なくて七癖というが、大きなくしゃみをする人は意外と自覚がない。
こちらも気にしなければいい。そうは思う。
ただ、図書館など静かな場所でそういう人に出くわすと、ものすごい存在感を見せる。当人の悪びれない様子がひときわ滑稽になる。
そういう時にふと思う。
こういう人と、盗みに入らないといけなくなったら、災難だろうなと。
まるで、ドリフのカトちゃんではないか。
そっと鍵を開けて、家主が寝てる部屋に忍び込み、枕元の棚に手を伸ばし、通帳と印鑑に息を殺して、そっと手を伸ばす。
その瞬間である。
「ひっくし!」
と力いっぱい、シャウトされるのだ。
いかりやならずとも、頭をはたきたくなるに違いない。
カトちゃんだから、笑えるのであって、彼以外が大きなくしゃみであれば、どうなるか。
よく考えてみた。
カトちゃんなみに、笑えるだけではないかと。
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