- 松の廊下
ズボンやスカートの丈が長いこと。
歌舞伎の仮名手本忠臣蔵で塩冶判官高定(モチーフが浅野内匠頭)と、高師直がずるずると長袴を引きずっていたことからの連想。
当時の江戸城では、実際に長袴の着用は基本フォーマルだが、公家文化にルーツはない。リアルに暴れられないようにすることが目的であった。(浅野内匠頭のような人がすぐ取り押さえられるように)
「もうちょっと丈なおさないと、そのままではまるで松の廊下じゃないか」
そんな風に使っていた。
さすがに店員さんで使っている人は見たことがないが、実はいるのだろうか。
- 勧進帳(オリジナル)
犬が散歩中、片足をあげて用を足しているのに、飼い主が首輪を引いて咳かせる様。
鎌倉幕府の追跡を逃れて、山伏に扮して逃げ延びる義経主従は身分を疑われ、関所で呼び止められる。弁慶は関所の役人との問答の末、手元にあった巻物を勧進帳(募金名簿)として読み上げて疑いを晴らす。
非礼を詫びる接待を受けた後、弁慶は主君義経を追って、派手に片足ずつ踏みしめて、花道を去るというラストシーン。
小さいワンちゃんが片足で、ちょんちょんと進む様とのギャップがいいと思う。自分なりに使っているが、一向に普及しない。(そりゃ、そうか)
ついでに。
漫画家赤塚不二夫に才能を見いだされて、テレビで活躍するようになったタモリは、2008年、恩人赤塚の葬儀で白紙の弔辞を開き、朗々と読み上げた。
あれこそ正しい意味で「勧進帳」として紹介されてほしい。
シラノ・ド・ベルジュラックでも、ラストはヒロイン・ロクサーヌが持っていた、亡き恋人クリスチャンの手紙を、シラノが夕闇の中で読み上げる(シラノが代筆をしていた)。
読めないはずが読めてしまうという演出で、似た趣向だが、タモリの場合はシラノより、勧進帳と評された方がカッコいい。
試着室で「ちょっと裾丈が松の廊下ですね」というと、店員さんは必ず曖昧な返事 |
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