仕事の段取りがうまくて、 人望があったが、字が信じられないくらい下手で、絵心にいたっては絶望的であった。(ミッキーマウスというお題に対して、鼻の頭からヒゲを生やす痩せネズミを描いて爆笑を誘っていた。)
googleのAutoDrawがあれば、今はそんなことがないのだろう。
マウスを使って、簡単なサムネを書くと、その特徴に合わせていくつかイラストの候補を挙げてくれる。
フリー素材で簡単なイラストを探すときに、日本語で検索しているのに、頓珍漢な結果を表示されて時間だけがすぎていくのとか、勘弁である。
そこでここでサムネを描いて、候補を使うというのは効率的かもしれない。
手書きがさっぱりできていなくても、googleのaiは描こうとしている趣旨をだいぶ理解してくれる。
使ってみて、最初に手塚治虫のことを思い出した。
かつて手塚治虫は『漫画の描き方』で、漫画のことを記号論として紹介した。
つまりアトムだろうが、ブラックジャックだろうが、ヒゲおやじだろうが、顔のパーツは決まった描き方があり、そのフォーマットの組み合わせによって成り立つという考え方である。
(発表当初から物議を醸した書籍で、結局、ガジェットを組み合わせれば、漫画だけではなくプロットも成り立つという安易な方法論にも引用されることになる。手塚のように量産するための方法論であったことが、クリエイティブなこと全般に引用されて、今は批判されがち)
皮肉にも、この記号論を再現して、クラウド上で実現したのが、AutoDrawではないだろうか。
描こうとしているパーツを、形状や比率を読み解いて、類似の候補を挙げていくのである。
しばしば、日本のアニメーションに対して、クールジャパンと称して、誇大ともいえるような評価がされるような気がしている。
海外の作品もはるかにいいものがあるのだが、日本人の細やかな手仕事には敵わないというような手合いのものである。
もちろん、我が国の手仕事は世界に誇れる価値はあると思うが、そういっておきながら、若いアニメーターには恐ろしいほどの低賃金で酷使している。
一部の監督だけがメジャーになるが、裾野は決して広くない。作品は様々作られているが、産業として十分に成熟していないのだ。
CGより手書きがいいというような考え方はあまり好きではない。
セル画に熱意を込めても、撮影フィルムに現像されると信じているのなら、少々怨念じみている。
所詮は道具なのではないか。問題は中身ではないか。
キャラクターの女の子のデザインしか、独自性がないとしたら、そんなものがクールなのだろうか。
簡単に手書きで、ちょっとイラストは取得できてしまう。それも無料で。残念だが、国産のサービスではなく。
しかし、これが世界の実態なのではないか。テクノロジーによって未来はちょっと快適になっていくのだ。
もうボールペンを持ったまま、見ていられないようなクオリティの自分の絵をみて、きっと笑われるだろうなと絶望的な気分にならなくていいのだ。
ヒゲを描き足す前なのに、すでに猫の候補が上がる |
変換したイラストはpngでダウンロードできる。 |
しかし例の猫型ロボットを歌いながら描いても、候補に出なかった。権利関係の問題だろうか。 |
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