2016年12月2日金曜日

おかしの話

カバンの中に、なんの経緯か、お菓子をいれることがある。

いただき物であったり、何かのついでに買ったものであったり。

カバンの中に、お菓子がある。この状態が実はなんとなく落ち着かない。カバンの中で、中身が溢れたりしないか、という心配はまるきりないのに。

昔、NHKで『シャーロック・ホームズの冒険』を放映していた。(ジェレミー・ブレッドが、原作についていたシドニー・パジェットの絵にそっくりな風貌であったため、未だに世界のシャーロキアンに絶大な評価を得ている)

なんの事件であったか、ホームズとワトソンが依頼人と共に、張り込みをするシーンがあった。依頼人が寒さを訴え、ワトソンが気を効かしていう。

「キャンディでも、どうです?」

それなら、おひとつと、依頼人が手を出しかけると、イラっとしたホームズがいう。

「ピクニックに来たのではないのだよ、ワトソン君」

露口茂の吹き替えの声が厳しく、ジェレミー・ブレッドの表情も次の瞬間、例によって無表情になる。

ごめんちゃい感丸出しで、包み紙をポッケにないないするワトソン。

そのシーンのせいだろうと、いつも思う。

社会人なのに、お菓子を手元に持っていると、ピクニックに来たのではないのだよと、露口茂の声で叱られるような気がする。

お菓子にまつわる、おかしな話。

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